今回は第１回なので、◆当神社は何という神様をおまつりしているのか
◆いつ頃創建されたのか
今回は第１回なので、
◆何の神様と呼ばれているのか、御神徳はなにか
当神社は倉稲魂命（うがのみたまのみこと）を祀る神社です。
◆当神社の創建時期
いつ当地に創建されたかについては２説あります。
神社に伝わる古文書では室町時代の正長元年(１４２８年)となっていますが、明治１２年１月に中川英右によって編纂された信達二郡村史(伊達郡史)によれば鎌倉時代の正元元年（１２５９年）となっています。
◆何の神様と呼ばれているのか、御神徳はなにか
古文書に「勧請以来、霊験の顕著なるは世人の普（あまね）く知る処にて、遠近の士女該社に参詣祈願する者日を逐（お）って遑（いとま）あらず」と書いてあるとおり、古来特に、安産に霊妙な御神徳を授け給う神として、日々参詣者の絶えることがありません。
このように、当神社の御神徳は第１に 安産守護ですが、この他の御神徳に、子授祈願、商売繁昌、学問成就、交通安全があります。
◆当神社の本殿は彫刻の社といわれているが、一体どんな特徴があるのか
当神社の御本殿は明治２６年（１８９３年）に起工され、明治３０年（１８９７年）に竣功されました。
一間社流造（いっけんしゃながれづくり）という神社本殿建築様式中一番優れた型です。
屋根に反りがあり前流れが長く美しい。用材は欅（けやき）。随所に精巧な彫刻が施されており「彫刻の社」として有名です。
前面の右側向拝柱の「昇竜」（のぼりりゅう）」、左側向拝柱の「降竜」（くだりりゅう）」、木鼻（きばな）の「振り向き唐獅子」、虹梁（こうりょう）の「浪に千鳥」は籠彫りであり、籠」のように内部を透かし立体的に彫り上げてす。
その他にも、真裏（しんり・西側）の「天照大御神様天の岩戸開きの図」、泰平束（たいへいづか）の「天上界」、欄間（らんま）の「稲の取り入れに至る四季の模様」、胴羽目（どうはめ）の「日清戦争」、手挟（たばさみ）の「松に鷹」、蟇股（かえるまた）の「牡丹に唐獅子」、組下（くみした）の十二支などが丸彫りに近い透かし彫り、浮き彫りなどで彫り上げてあります。
右側向拝柱の昇竜は春分の頃に地中（水中）を出た竜がまさに海老虹梁、脇障子横の親柱を経て天上界に昇ろうとするところです。
左側向拝柱の降竜は秋分の頃に天上界を出た竜が親柱、海老虹梁を経てまさに地中（水中）に降ろうとするところです。
彫刻師は安達町出身の加藤 源と二本松市出身の渡辺幸重郎です。
また、御本殿の下長押（なげし）は、石積みの基壇の上に据えられた縦横２メートル余、高さ５０センチほどの花崗岩の基礎石の上に組まれた八箇所の四手先（しでさき）の斗組（ますぐみ）で支えられています。斗組には揺れを吸収するしなやかな強度があり風通しもよく湿気が防止されます。
向拝も浜縁（はまえん）の下に八箇所組まれた二手先（ふたてさき）斗組で支えられています。
本屋（ほんおく）の４本の円柱と左右の向拝柱の頭には三手先（みてさき）斗組が組まれ、屋根の部分の丸桁（がぎょう）や破風（はふ）を支えています。
すべてが木と木とを組み合わせる木組みであり、釘や金具や接着剤は使用されていません。
用材のケヤキは３０年間寝かせて完全に乾燥させたものを使用しているといわれています。いわゆるケヤキの白太の部分を完全に剥離させて赤身の部分だけを使用しています。そのため木目が美しい上に狂いがなく、湿気にもよく耐えています。
中世に完成したという日本建築の建物としての美しさと、木と木を組合せる高度な木組み技術を、規格化した西洋建築に傾きがちな明治中期に、何百年も後まで伝承しようとした反骨的な心意気がしのばれます。
御本殿の建築を行った大工棟梁は、江戸時代に三春城のお抱え宮大工であった伊藤九賀之助です。